
いつも私の心を浄化し、もとの位置に戻してくれるのは自然の色、音、匂い、
肌に触れ入って来る感覚です。
私が生まれ育った場所は自然が生活のそばにある地域です。
都会は音が近くにしかないけれど、ここは音が層になって近くから遠くの山へ、
そして山の中へ、山を越えてその向こうへ、空へ、と深く遠く広がるように聞こえ、
私の耳から体へと沢山入ってきます。夏は特にその感覚が強くなります。
夏の夜長、窓を開けていると聞こえて来る、近くの虫の声、
ザワザワっと風になびく木々の音、少し遠くでホゥホゥホゥホゥと聞こえ始めるふくろうの声、
カタンコトンと響く列車の音、その先に聞こえる蛙の合唱、
田畑の広がる地域はその音が風にのってスゥっと伸びやかに渡って行き、
その先で音が山にふわっとぶつかって消える。山からは小さく鳥や動物のひそひそ声が聞こえるよう。
夜は暗くて景色はみえないけれど、感覚とあちこちの音と気配で景色がみえてくるようだ。
そんな匂いと音の記憶、音と空気や湿度の記憶、視覚と心の記憶、
色んなシーンが混ざり合って体や心に刻まれてゆくのです。
夏の終わりに虫の声を聞きながら、
一気に秋へと変わりゆく空気を肌で感じながらふっと立ち止まることがあります。
私にとって自分の生まれた季節でもある夏は特別です。
始まりが夏からだから、夏を軸に人生まわっているような感じなのかもしれません。
S a j i